読んで思い起こされるストーリーを絵巻物の様に表現。一つの部屋の中にカエルが住んでいて、最後に部屋の外に出て行く。
山岸:少し可愛い過ぎる。内容として箱の中だけで話が完結しているもの。内部だけで出来ている空間をやりたいのかと勝手に思っていた。話としても表現としてもストーリーが作られているが、それが内と外でひっくり返っている。これはカエルがポスト、というか母屋から見ている風景。絵本の空間がそのまま立ち現れているようで不思議な空間。自分が中に入る事の出来ない空間をどうやって作るのかという事で、そのひっくり返す操作に素晴らしい効果がある。
山崎:ひっくり返して提案している所は話を聞くまでは分からなくて、これがテキストと連動しているのかは不明である。
古谷:童話があってそれを読んで自分の中に浮き上がってくる世界があった。カエルはこういう空間にいるんだろうな、という想像から具体的な空間に落とし込んでいる。しかしこの課題が、まず体験があるがそれを言葉で記述し、次に言葉を模型に表現するという2重変換だとすると、このカエルの話からこの模型へという1ウェイで出来てしまってる。私が思っていた空間がカエルがいる空間とそっくりだというその考えを形にするのが大事だ。文字を読んで最初に思い描いた空間を絵や模型で表現してしまうのではなく、言葉に置換する作業が欲しい。直接的なものではなく、曖昧な言葉で表現するプロセスを踏むのが良かった。これはまだカエルの気持ち、空間感を表現しているに過ぎない。